2016年3月26日土曜日

エルヴェ・ジェスタンと日本未輸入新世代のシャンパーニュ試飲会


本日は2つのテーマで構成されたワイン会。テーマ1は、2007年新着ジェスタンとサピエンスの比較試飲(輸入元:ラシーヌ)。テーマ2は日本未入荷 新世代のBIOシャンパーニュの生産者 Leclerc Briant(ルクレール・ブリアン)で、Herve Justin氏がエノログとして関係しているそうです。


状態に気を配り、ラシーヌさんの倉庫から直接運んできたボトルです。


パン2種類



テーマ1:2007年新着ジェスタンとサピエンスの比較試飲 (輸入元:ラシーヌ)

(1)Herve Jestin  Extra Brut Premier Cru 2007
(エルヴェ・ジェスタン エクストラ・ブリュット)

泡はあまり発たない。香りは梅が大人しくあり、やや温かさを感じる。皿の周囲が100度ぐらいの角度で広がりを持つ薄い皿のような形で、クリームと少しのグリーンが立ち上がる。ハッカにオレンジが交じる。口に含むと舌上でピリピリするが味は薄く旨みがない。後半から時間をおいてから余韻に上あご方向に向かって苦みが強く増していく。エレガントな流れがなく、薄く平べったい。

(2)Marguet Pere & Fils Sapience Extra Brut Premier Cru 2007
(マルゲ・ペール・エ・フィス サピエンス・エキストラ・ブリュット・プルミエ・クリュ)

泡が弱い。香りにはオレンジや温州みかんの香りがあり、スワリングするとオレンジピール、ハッカが出てきて、そのハッカは時間軸の後半になると湿布の要素に変化していく。口に含むと状態がよいときのように舌にはのらず、ふあっと球体が口内に浮く。しかし、これも味が薄く、旨みも少ない。後半にした周囲でピリピリ、キラキラして、余韻までにはオレンジピールの苦みが表面に出てくる。オレンジの暗っぽい小さな核があり、これはサピエンスらしい。

両者を比べると、ジェスタンらしさとサピエンスらしさは一応感じられた。以前あったエレガントさがなくて残念。


ラスクのセット


テーマ2 日本未入荷 新世代のBIOシャンパーニュの生産者 Leclerc Briant(ルクレール・ブリアン)

説明:エペルネに本拠地を置くNMですが、自社畑を9ha所有。その買ブドウも含め、全てが認証BIOのブドウのみを使用。わずか3%しかないとも言われるシャンパーニュの認証BIOの区画です。
先代が亡くなり、その精神を引き継いだのが、元、Moet & Chandonのディレクターと今や話題の凄腕エノログとして知られるHerve Justin です。



(1)Leclerc Briant Brut Reserve
(ルクレール・ブリアン ブリュット レゼルヴァ)

泡は細かいが量は少ない。香りは大人しく、ウリ系と少しのオレンジにクリームが交じっている。しかし弱い。スワリングでも香りは発たない。口に含むとしたに泡が大きめに当たり、味わいは薄く、中盤から少しオレンジとみかんの風味がある。オレンジの風味はエクレア状に膨らみ、後半からオレンジの苦みが出てくる。ふんわり膨らみそのまま消えていく感じは状態はよいが、どこか物足りない。それでもテーマ1よりよい。8000円ぐらいのシャンパンだが2500円の感覚。

【品種】ピノ・ムニエ 65%、ピノ・ノワール 20%、シャルドネ 15%
【収穫年】2012 年(瓶詰めは 2013 年 7 月)
【産地】Cumieres, Verneuil, Sermiers, Epernay, Cramant
【醸造】木樽で発酵、熟成
【ドサージュ】2g/L
【デゴルジュマン】2015 年 6 月



(2)Leclerc Briant Brut Rose
(ルクレール・ブリアン ブリュット ロゼ)

分離した香り。上層に高いトーンの香りが藁を円錐状に立てたような形であり、中低域には暗くぼんやりした要素が丸く小さくいる。この中低域はボールペンの試し書きでグルグルと描いたような隙間のある黒い空間で暗い。これらが上下で独立している。時間が経つと奥からグリーンガムがまっすぐに伸びてくる。口に含むと苦みのアタックがあり、混沌とした状態が続き、果皮の苦みが混沌としながらも波紋を持ち、1つ1つの波が力をもって口奥へと進んでいく。(1)よりよい。8000円ぐらいのようですが4000円の感覚。

【品種】ピノ・ノワール 75%、ピノ・ムニエ 25%
【収穫年】2010 年ベース、10%の Cumieres 産赤ワインをアッサンブラージュ
【産地】Hautvillers, Cumieres, Verneuil
【ドサージュ】6g/L
【デゴルジュマン】2015 年 1 月



(3)Leclerc Briant Brut Millesime 2007
(ルクレール・ブリアン ブリュット ミレジム)

ゴールドの照りがある色合いで泡も普通に発つ。シャンパンらしい焼き栗、生クリーム、モンブランクリームが香り、ウリもある。口に含むと舌を刺激し、味わいは一般的なシャンパーニュの味わい。5mmぐらいの小さい核が変化なく、長くずっと居続けるところが特徴だが、世界観はない。(2)よりよく、1万円ぐらいのようですが6000-70000円の感覚。パスカル・マゼのような熟成感が少しある。

【品種】ピノ・ノワール 70%、ピノ・ムニエ 30%
【収穫年】2007 年ベース、10%の Cumieres 産赤ワインをアッサンブラージュ
【産地】Hautvillers, Cumieres, Verneuil
【ドサージュ】2g/L
【デゴルジュマン】2015 年 2 月



(4)Leclerc Briant  Les Chevres Pierreuses Cumieres 1er Cru Brut
(ルクレール・ブリアン レ・シュヴレ・ピエルーズ キュミエール)

色はゴールドだが(3)よりも薄い色合い。香りは(3)と同じくクリアで澄んだ感じもある。口に含むと濃いピールと苦みが長く流れがあるように続く。チュロスのように細長く、色でいうと黒くマット状の味わい。癖のようなものを強く感じる。黒い核はサピエンスに通じるものがあり、(4)がサピエンスならば(3)はジェスタンっぽいとも言える。1万円ぐらいですが8000-10000円の感覚。どちらかというと好みは(3)です。

【品種】ピノ・ノワール 40%、シャルドネ 40%、ピノ・ムニエ 20%
【収穫年】2009 年
【産地】Cumieres 単一区画
【面積】2.80ha
【醸造】木樽で発酵、熟成
【ドサージュ】4g/L
【デゴルジュマン】2015 年 3 月




(5)Leclerc Briant  La Croisette Blanc de Blancs d'Epernay Brut
(ルクレール・ブリアン ラ・クロワゼット・ブラン・ド・ブラン エペルネ・ブリュット)

泡がシャンパンらしく細かく発つ。香りは塩や甲殻類、カレー粉、海苔などがあり、線がきれいで芯があり、ジェスタンらしさも垣間見れる。口に含むと黒めの軸が大木のように下はどっしり、上は細くまっすぐに安定して立っている。味わいの形ではタジン鍋の蓋に似ている。その細い部分の周囲ではキラキラと細かく瞬く。時間軸では旨みがグンっと持ち上がった後に、旨みはスッと消え、その後はとても細い線だが口奥へときれいに流れていく。立体感はあるが世界観はない。12000円ぐらいので感覚もそれぐらい。8000円ぐらいであれば1本購入するレベル。

【品種】シャルドネ 100%
【収穫年】2012 年(瓶詰めは 2013 年 7 月)
【産地】Epernay 単一区画
【面積】0.60ha
【醸造】木樽で発酵、熟成
【ドサージュ】0g/L
【デゴルジュマン】2015 年 1 月




(6)Leclerc Briant Rubis de Noirs Brut Millesime 2006
(ルクレール・ブリアン ラ・クロワゼット・ブラン・ド・ブラン エペルネ・ブリュット)

ナチュールとは別の、にごりのある色合い。香りには黄色い濃い色合いの花や絵の具がある。口に含むとエグミが強く、背筋がぞぞぞっとする。

【品種】ピノ・ノワール 100%
【収穫年】2006 年
【産地】Hautvillers, Cumieres, Dizy
【マセラシオン】6 日間
【ドサージュ】6g/L
【デゴルジュマン】2015 年 2 月




(7)Leclerc Briant Cuvee Dovine Brut (Solera)
(ルクレール・ブリアン キュヴェ・ディヴィーヌ ソレラ)

黄金色。香りには白粉があり、全体として曇った香り。熟成した感じ、カブトムシ、パスカル・マゼを若くしたような高いトーンもある。口に含むと細かい泡が周囲にもこもこと小さな煙の集合体として広がる。軸はなく、もこもこっとしている。酸化した感じと濃い風味が交じる。2万円ぐらいのようですが15000円の感覚で、8000円であれば購入する。

【品種】ピノ・ムニエ 50%、ピノ・ノワール 30%、シャルドネ 20%
【収穫年】2006 年ベースで、2004 年 2005 年のワインとともにソレラで熟成したもの
【産地】Chatillon sur Marne, Hautvillers, Cumieres,
【ドサージュ】4g/L
【デゴルジュマン】2015 年 4 月


ここからは番外編



(番外1)Waris Hubert Cuvee Equinoxe Millesime Grand Cru Blanc de Blancs 2009(12000)
(ワリス・ユーベルト キュベ・エキノックス ミレジム グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン)

泡が細かくてきれい。香りはオレンジの風味で澄んできれいな香り。グリーンがあり、低域から中域が太く高いトーンまでつながっている。味わいは明るく動きがあり、躍動感を感じる。味わいも香りと同様にきれいでキラキラしている。12000円、エスプリデュヴァン輸入です。



静岡の中ヨークシャー豚肉


天ぷら



(番外2)Maison Penet(Alexandre Penet) Penet Chardonnet Grand Cru Terroir Escence Rose NV(10000)
(メゾン・プネ(アレクサンドル・プネ) プネ・シャルドネ グラン・クリュ・テロワール・エソンス・ロゼ)

香りは繊細な黄色い花の香りで、地面の土筆が点在しているかのように上方へとひょっこりと伸びていく。明るく、動きがあり、躍動感とキラキラしている。





(番外3)Herve Jestin  Extra Brut Premier Cru 2007
(エルヴェ・ジェスタン エクストラ・ブリュット)

テーマ1の(1)と同じだが、(1)は今回のロットで、(番外編3)は初期ロットの平野弥さん在庫品。
妖艶さのある香り。色気と栗、鮮烈で和な能楽のような舞が見える。味わいはアジアっぽさを持つ。トンボのように真っ直ぐ進んだかと思うとクルリと360度回って、また真っ直ぐ進むという流れをくる返す。完全に突き抜けるような高域ではないが、きちんと味わいが伸びていく。1本目とはデゴルジュマンは同じでボトルNo.も近いが、香り、味ともに全くの別物。


パン


金陵のアヒルと皮付き豚


チーズ


<写真撮り忘れ>
(番外編4)ルリー 1er
アジアないい香りで海苔もある。味わいは茶葉を低温に浸漬したときの暗いニュアンスと苦みの風味がある。枯れた感じがあり、酢酸も少しある。皆さんの評価は高いですが、暗いので好みではなかった。



(番外編5)Claude Dugat Gevrey-Chambertin 2009(クロード・デュガ ジュヴレ・シャンベルタン)

濃いめの色合い。香りが濃く、密度高く密集しているので暗黒の世界になっている。かぎ分けると、黄色い花、ローリエ、山椒、鉄、ゴボウ、果実、燻香、それに赤い花も少しあり、とても要素が多い。口に含むとブルーベリーに似た風味で、クランベリーの酸味がきれいに発つ。痩せて薄い味わいだがバランスは取れている。




(番外6)Schoffit Alsace Gewurzttraminer Grand Cru Rangen 2013
(ショフィット アルザス・ゲヴュルツトラミネール グラン・クリュ ランゲン)

癖のある風味。コクがあり、苦みが多い。



ラクトアイスに山田養蜂場の「ぼだいじゅ蜜」をかけたもの。ぼだいじゅの香りと味わいを楽しむためにあえてラクトアイスにしました。横浜基点の持ち込み。


本日のラインナップ

スタッフの方を含めて10名で15本、飲めないワインもあったので量はそれほどでもありません。
今回は外れ気味で最初は暗い感じの会になりましたが、後半は何やら議論が白熱してました。色々なワインと料理、皆さまごちそうさまでした。

ワイン専門平野弥
横浜市都筑区荏田南町4212-1 045-915-6767 13:00-19:00 月火休