2015年10月31日土曜日

Egly-Ouriet Grand Cru Brut Millesime 2004 (エグリ・ウーリエ グラン・クリュ・ブリュット・ミレジム)


現地で入手したボトル


フルートグラスでは香りが凝縮した軸となるので枝のような印象になり、要素は栗の外皮を含んだ栗の香りが主成分。シャルドネグラスではクリームがやさしく漂い、それに栗がほんわかとのり、生き生きとした開放感を感じる。奥には熟したオレンジや甘く香ばしい果実を煮詰めて蜜を加えて、かつグレープフルーツ系統の柑橘の爽やかな香りがスーっと立ち上る。りんごは少しだけで、りんごの皮、皮の厚い八朔、それに少しだけセロリが加わる。味わいはすっきりと自然に流れ、味わいのボリュームが後半になるほど膨らみ、要素も増えて複雑かつ融和した味わいになる。余韻に向かっては焼き栗を食べたあとの栗の甘さが鼻腔に膨らむ。

北斎の肉筆画のように生きている様(サマ)が感じられ、さらに動きや変化も加わる。訴えてくる意思も感じられるが、頑固なまでに曲げない感じではなく、意思はありながら受け止める寛容さがある。ワインの世界観には宇宙などの大きな空間が表現されることもあるが、これは豊かな人の心、心理が表現されている。完璧な状態だからこそ見えてくる世界観だと思います。