2015年4月18日土曜日

ワイン専門平野弥 新ワイン教室 2015年4月

 
今回が初回となるワイン専門平野弥さんの新ワイン教室。研究会は実施されていたが、きちんとしたワイン教室の再開は3年ぶりでしょうか。以前はブラインドテイスティングで決して当てることを目的にはしてないが、ブルゴーニュの畑や区画の特徴、生産者、ヴィンテージの個性を捉えるような難易度が高いものだった。果たして今回は・・  (なお、教室はビデオ撮影あり)


新しいワイン教室は2時間で、前半は講義、後半は試飲になる。前半の講義はワインとの向き合い方から香りや味わいの世界観や鑑賞する方法、その表現方法の説明だった。一般的なワイン教室で行う要素を探すスタイルだと、どうしても中国の淮南子でいう「鹿を追う者は山を見ず」(木を見て森を見ず)になりがちになる。今回は自然体でありのまま受け入れるというスタイルで、全体を俯瞰する能力をやしない、感性を自由に解き放つことになる。この点は従来のワイン教室でも同じだがより明確になり、そのスタイルへ到達するための手続きを体系立てて踏んでいこうという試みになっている。

今回は5本をテイスティング。
テイスティングノートにある香りの記入項目は、香りの第一印象、香りたち、香りのトーン、香りのエレメント、全体のハーモニー、色彩的イメージ、映像イメージ。味わいの記入項目は、味わいの第一印象、味わいのエレメントの質的量的変化、味わいの形、味わいの調和の4つ。
横浜基点が捉える内容とほぼ同じなのでコメントは従来とあまり変わらないが、前記の項目名が書いてあるので抜けがないように気を配りやすくなった。


Comtes de Lorgeril Les Terrasses Chardonnay Vin de Pays D'Oc 2012 @France,Bourgogne
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・シャルドネ  ヴァン・ド・ペイドック)
すごくやさしく甘い、いい香り。香りはふんわりと丸くやわらかく、やや密度をもつ雲のように浮かぶ。香りのトーンは中域がしっかりとして、高域まできれいに滑らかにつながる。注いだ状態では果実や棘がない蜜の甘さがどっしりと構え、スワリングでグリーン系の香りが主体となり、そのグリーンは風を切るようにスーっとシャープに走る。スワリングで野菜、葉が厚めで芯に近い部分のキャベツなどが主張し、さらにスワリングで落ち着くと、お菓子のラムネ、柑橘果実の蜜、オシロイ、洋ナシ、白桃、奥にはパイナップルなどがやさしく丸く、一体感を持つ。色彩的にはオレンジに黄色が入る。映像的イメージとしては、温かくポカポカした陽気で、平面的に広い高原をイメージさせ、果物の実は風の影響を受けないやや高いところに実り、膝下ぐらいの低いところに冷たさが漂い、キャベツなどに露が出ているような感覚を受ける。時間は朝方っぽいが場所のイメージはつけにくい。
味わいの第一印象は、舌にねっとりとのり、味わいにきれいな流れを感じさせ、スーっと味わいが進んだ後に上顎奥でピカッと酸味が光る。そしてボリュームがぼわんと膨らむ。味わいのエレメントは柑橘の酸味が舌を心地よく刺激し、鼻腔に柑橘の蜜、花の蜜が膨らむ。そして舌には軽く、ふぁっと昇華する。味わいの形は透明度が高い浅瀬の勢いは強くない清流のような水源が高低差を持たずに平面状にあり、その川の奥行きの長さは短いわけではなく、すごく長いわけでもないが、なぜか見えない。味わいの調和は、やや軽やかで雲の隙間から光が差し込むような明るさがある。自然に口奥へと進み、口奥に進むほどボリュームが増していく。この自然な流れがきれい。

この価格帯でこれだけ表現できるのはやはりいいワイン。おいしい。なお、テラスシリーズのシャルドネは、同じテラスシリーズ ヴィオニエの風味やニュアンスをなぜかいつも感じる。


Moulin de Gassac Terrasses de Guilhem Merlot 2013 @France,Languedoc
(ムーラン・ド・ガサック テラス・ド・ギレム メルロー)
甘い煮詰めたような赤果実のいい香り。落ち着きがあり、どっしりした雰囲気もあるが軽さもある。中域がガッチリとした角ばった輪郭をもち、高域のトーンもすぅっときれいに伸びる。四角い上に、スライムのにゅるっとした尖がり帽をつけたような香りの形をしている。土、牛蒡、木に付いた状態の若めの枝、ヨーグルト、ユーカリなどがあり、奥にはガッチリした干しブドウがいる。若草色の葉に綿飴が産毛のようについているようで、色彩的には黒や黒めの赤を思わせる。映像的には奥行きが見えず深いのかどうかも分からない。重さはある立体的なものがあるのに香りを取ると、それを下まで突き抜ける。
口に含むとしっかりとした立体感、そして舌でキラキラする。舌に渋味を与え、粒子が粗い精製してない良質な塩がある。ボリュームあるがきれいで透明感ある。


Moulin de Gassac Terrasses de Guilhem Cabernet Sauvignon 2013 @France,Languedoc
(ムーラン・ド・ガサック テラス・ド・ギレム カベルネ・ソーヴィニヨン)
まず香りは冷涼さ。縦にまっすぐと香りが立ち昇る。香りのトーンや構成は前者のメルローと同じだが、メルローはズングリむっくりして上だけホイップクリームのツノのように尖った形だった。それに対して、このカベルネは支柱のように香りがズドーンとまっすぐにブレなく聳え立つ。そして低域はないが、中域が力強く、高域に向けて上昇して流れていく。この形は側面からみると野菜のチコリを思わせる。黒胡椒が前へ出てくるようにはっきりとあり、白胡椒、綿飴、牛蒡などがある。映像的イメージとしては、黒さもあるが透明感もあるので、暗がりだが清々しい。冷涼さもあり、空間は広い。
口に含むと舌にすっきり、そしてどっしりとした果実の高いトーンの酸味がグァっと主張する。果実の甘さときれいな柑橘系の酸味が印象的。口内に渋味がシワシワするので、舌に膜のようにのっていて、その上に幅5cm奥行き10cm、厚み5cmの油揚げ状のものがガッチリしながらも浮いている。かなり四角紙面な立体感で角ばっているがエッジは切れるほど立ってない。


Château Le Temple Cru Bourgeois rouge 2009 @France,Bordeaux-Médoc
(シャトー・ル・タンブル)
強さがガッチリして、冷涼さを感じる香り。そして苺ジャム。中域の香りが主体で、そこが中心になって1粒の殻付き麦のように高域、低域へと上下へヒュっと伸びる。そして中域から高域への香りの流れが特徴的で中域の30cm幅が基底となり、そこから風が渦となり中心に巻き込むようにしながらスパイラル状に上昇していく。要素にはミルキーさ、きれいな茶色いスパイスが鼻をくすぐる。心地よいハッカもあり、黒胡椒も少しある。全体としてきれいにまとまっていて、色彩は黒さをもつオレンジ。映像的イメージは、暗いが月か太陽か判別できない光があり、周囲は冷涼だが近くで温かい炎が灯る。温かさもあり日本だとすると湿度は感じないので、夜よりも昼間の曇天で暗いように思える。フランスであれば街灯がない田舎の真っ暗な夜での月明かりかもしれない。
口に含むと舌に味わいがベタッとのらずにきれいで、渋さがしっかりしている。味わいはどっしりしているのに形がない。あるのにない!舌に果実味と苦味が粉雪のように降り注ぎ、その一方で舌側面に味わいがあり、さらに舌の上平面すべての領域からやや高い成分の味外が均等に上昇する。味わいが上昇していっても普通は前者カベルネのように渦を巻いたり、中央が強かったり、雲のように持ち上がったり、どこかに強さの分布があるのに、このワインは多数のLEDランプを平面状に光らせたように均等なのが個性的で珍しい。味わいの形は前記の通りないが、3cmぐらいのエネルギーの球体が力強く口奥へスーっと流れていく。ふと気が付くと、舌の上で浮いたところに奥行き10cm、幅5cm、厚み2cmの固めの寒天状のものが留まっている。なお、2本出されたもう1本を試したところ、奥行き10cm、幅8cm、厚み0.2mmの薄い平面から点々状の味わいがパーっと上昇していた。


Château Lestrille Capmartin Bordeaux Supérieur 2009 @France,Bordeaux-Médoc
(シャトー・レストリーユ キャプマルタン ボルドー・スーペリュール)
香りはやわらかくしっかりしている。どっしりとしているが軽やかできれい。高いトーンがきれいで脳天のかなり上まで香りのトーンがつながり、脳天から10cm上の辺りに香りが意思をもって動かない領域がある。要素は牛蒡、ユーカリ、冷涼さがあり、奥からスゥッとした香りが力強く立ち昇る。平面的だが奥からどんどん香りが湧き上がり、そこからシャープな香りの流れになっている。色彩的には濃い黄色で緑が少し入っている。映像的なイメージでは、暗い曇天、ドイツの低い空、そでも生命力がある、グーっと力強さがみなぎってくる。
口に含むと舌にはのらず、舌からかなり浮いた部分にしっかりした果実の苦味が浮いている。酸がきれいに昇華して、鼻にスーッと強めに抜ける。鼻腔辺りにグーンと味わいが集まる。また、舌奥左右側面に味外が集中し、口内が渋くしわしわする。
なお、よく擬音語のようなもので表現するが、グーンというのは、手に力を入れて拳を固めた状態で力を持たせながらゆっくりと進めていく状態を指しています。これでも通じないかもしれませんがご了承ください。

以上でちょうど2時間。ワイン教室は終了。
次に残る人は残ってお食事会を継続。本日残ったのはスタッフの方を含めて7名。

  
黄な粉の香りがするパン。おいしいローストビーフ。

  
モッツァレラチーズとトマトのサラダ。旅するコンフィチュールさんの徳島県産のすだちを使ったコンフィチュール。CITRUS SUDACHI MARMALADE (すだちのマーマレード)

  
コンビーフ、ハーブの入ったパン(フォカッチャ)。カタクチイワシ。


Château Lestrille Le Secret de Lestrille Bordeaux Supérieur 2009 @France,Bordeaux-Médoc
(ル・スクレ・ド・レストリーユ ボルドー・スーペリュール)
 落ち着きのある上品さもある安定した香り。中低重心で、そこから透明感ある香りがスーっときれいに立ち昇る。ヨード、土、牛蒡などの要素だけで捉えると暗っぽいが香りから受ける感覚はすがすがしい。全体としては空間を感じさせて落ち着きある。色彩的には絵具のような暗さと光沢をもつ黄色。映像的イメージは冷涼な冬前のシーズン、北の地の風がある。
 口に含むと、苺ジャム、舌ののらず酸がピリピリと舌を刺激する。苦味の要素が多く、苦味だけで複雑になっている。味わいは流れていくが形はなく、鼻にすべて集中する。舌奥に5cmの空間に味わいが集中し、パチパチと味わいが広がる。いいワインだが現状で量を沢山飲むと疲れそう。熟成が楽しみになるワイン。ワイン教室の最後に出たシャトー・レストリーユの上級キュヴェ。


Bachelet Monnot Maranges 1er Cru La Fussiere 2011 @France,Bourgogne
(バシュレ・モノ マランジュ 1erクリュ ラ・フシェール)
馬小屋臭。硫黄やドーヴネにあるようなもわんとした香りがある。鼻の先10cmに香りが集まり、その中華まん形状の香りの塊から上昇へ香りが立ち昇る。中央に香りがなく、周囲に香りがある。高く強いトーンの香り。色彩は明るい黄色とグリーン。映像的イメージは馬小屋臭が強いが高貴な印象もあるので、乗馬の練習場。
 味わいはスっと何もなかったかのように消える。上顎奥にエネルギーが集中し、果実の酸味が強い。形はない。低いところに水源が湖のようにあり、そこから上へ離れたところに味わいが平面状に多層化している。
 このワインはポテンシャルはあるが、現状はボルドーに対抗できるほどの濃さや力強さもある。昨年後半にAOCブルを飲んだが、現状はそちらの方が飲みやすい。

 
最後にデザートでレディーボーデンのバニラとグリーンに機山洋酒工業さんのマールをかけたもの。このボトル(写真撮り忘れ)は苦味が強めで、甘味のあるアイスとは上手く合わなかった。残念。


平野弥さんでやっていた従来のワイン教室はワインがあって人があった。今回は、人があってワインがあり、アプローチが異なる。よいワインにも絵画が音楽に通じる感動や描写、心への訴えがあるのは同感です。ただ、世界的な名画でも感じるものは極僅か。ワインも同様に数少ないがこのような鍛錬をしておかないと出会ったとしても感動できないのはもったいない。

参加者から自由な発想や感じたままの感覚が表現がされて、とてもおもしろい会でした。HTさんの「バイクでトンネルを抜けたときの香り」という表現が個性的でとても興味深かった。従来のワイン教室では要素などのコメントが出ることはあったが、このような感覚的なコメントが出ることはなかったので、新ワイン教室向けに練られた序章の概論やコンセプトとアプローチがよかったのだと思う。

今後ワイン教室は補正されながら実施すると説明あったが、コメントリストは項目欄はもっと広い方がよいと思った。書ける量が限定され、また文字の大きさなども開放的になる空間がないと思考も停止しやすくなる。沸いたイメージの絵もかけない。色鉛筆や透明感もあるマーカーペンを準備しておいてもおもしろいかもしれない。今後も楽しみなワイン教室になった。
今回はスタッフの方を含めて総勢12名+α。後半の食事会は7名が参加。みなさま、お疲れ様でした。翌日の4月19日も同様の内容で実施されるようですが、メンバが異なると雰囲気も変わるのでそちらもどうなるのか興味深いです。

ワイン専門平野弥
横浜市都筑区荏田南町4212-1 045-915-6767 13:00-19:00 月火休

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