2013年5月18日土曜日

ワインと食事のマリアージュを探究する会 2013年5月

  
ワイン会の前に番外編として試飲したスペインのワイン。

Dominio de Punctum Finca Fabian Chardonnay 2011 @Sapin
(ドミニオ・デ・プンクトゥム フィンカ・ファビアン シャルドネ)
シャルドネは花が小さくまとまったいい香り。味わいは濃厚でトロミもあるシャルドネで厚みがありながらやさしく果実味いっぱい。後半の酸味も土台にしっかりいるので厚みときれいさを併せ持つ味わい。チリワインのような感じ。これで1000円代前半は安い。

Dominio de Punctum Finca Fabian Tempranillo 2011 @Sapin
(ドミニオ・デ・プンクトゥム フィンカ・ファビアン テンプラニーリョ)
抜栓直後はタンニンがすごくて飲めなかったそうだが、3日経過した現状ではバランスも取れておいしく飲める。もう少し放置するとさらにバランスが取れそう。

スペイン生産者プンクトゥムのデイリーワインのブランド名がフィンカ・ファビアンのようです。フィンカ・ファビアンのホームページも作成されていて、トップページにある小鳥のくちばしが動いてこちらもかわいらしい。

  
先月は参加できなかったマリアージュの会。以前は「ワインと家庭料理のマリアージュを探究する会」であったが、「ワインと料理のマリアージュを探究する会」になった。今回は春野菜など旬の食材がテーマで、平野さんに参加者3名という少人数で点数付け。いつも通り、点数は前回と同じく5段階評価にして、ワインと食材が喧嘩しなければ平均値の3点とする。

まずはワインについて一言テイスティングノート

  
・Domaine Jean Fournier Bourgogne Blanc S...?!? 2011(ジャン・フルニエ エス・クエスチョン)
ソーヴィニヨン・ブランのこのワインはミネラル香りが強く、味わいにキラキラと光る酸味がある。青っぽさがなくて澄んでいる。

  
・Domaine Jean Fournier Bourgogne Les Avoines Pinot Blanc 2011(ジャン・フルニエ ピノ・ブラン)
ピノ・ブランのこのワインは3月に試飲したときには純米の日本酒やヨードが特徴だった。今もそれらの要素はあるが馴染んで旨味と酸味が一体化したものが伸びていく流れがきれい。

  
・Domaine Jean Fournier Marsannay Blanc Cuvee Saint Urbain 2011(ジャン・フルニエ マルサネ・ブラン キュヴェ・サン・チュルバン)
いい香り。きれいに流れるミネラルに果実が軽やかな旋律を奏でるように美しい。単体でおいしい。

  
・Domaine Jean Fournier Marsannay Rose 2010(ジャン・フルニエ マルサネ・ロゼ)
白ワインの後に赤ワインの皮の甘味がくるロゼらしい二重奏。

  
・Domaine Jean Fournier Bourgogne Rouge 2011(ジャン・フルニエ ブルゴーニュ・ルージュ)
香水のようにきれいな香り。流れるような透き通った味わい。澄んでいておいしい。

  
きびなごのフリット 頭に近い部分の肝が濃い味わい。これがポイント。レモンはかけずに食べた。みんなはかけている。
・SBと合わせると肝の旨味が膨らみ塩味も出てくる(横浜基点)。酸がきれいに伸びる(平野さん)。魚の苦味部分と邪魔になっていない(SK)。感じているのは同じで好みで点数が異なっている。
・PBはほろほろときびなごの旨味が分解されるようにバランス取れる(横浜基点)。飲んでいて落ち着く味と世界(平野さん)。白身と合い、内臓の苦味を消してない、好きな感じ(SK)
・Chは肝の深みが基底にありバランス取れるがワインが開くとワインが勝つ(横浜基点)。このワイン特有の透明感が際立つ(平野さん)。最初はワインが強く感じ、時間が経つと合うようになった(SK)
・Rose きびなごのオイリーなところが強調される(横浜基点)。邪魔せずワイン双方楽しめる(平野さん)。ワインの甘味が出ている(SK)
・PN 内臓がバラバラと分解する感じの味わい(横浜基点)。少しワインのタンニンが浮く(平野さん)。苦味と合わせるとおいしい(SK)

 
茄子とパプリカのマリネ 茄子の甘味と焼き茄子の風味が強めなのでパプリカの味は目立たない。
・SB 焼き茄子の風味が強調されて旨味が膨らむ(横浜基点5)。茄子とパプリカの甘さに対して少し酸が浮く(平野さん3.5)。スモークの香りがくると合わない炙ってない部分は合う(SK3)
・PB 別々でもなく一体でもない、食中酒(横浜基点4)。ワインのアルコール感が少し強調される3.5(平野さん3.5)。素もーキー差が邪魔になっている(SK3)
・Ch 旨味が膨らむが独立しているところある(横浜基点3)。食材の風味をシャルドネの風味が包み込むイメージ(平野さん4.5)。前者と同じで後で樽の香りが出てあぶりのスモークの香りと合う(SK3→4)
・Rose ワインの甘味が旨味となってバランス取れる(横浜基点5)。食材の甘さと酸の比率がワインと近い(平野さん4.5)。料理と合わない(SK2)
・PN ワインの味わいが膨らむ(横浜基点4)。少し赤ワインのタンニンが薄く感じるがパプリカの甘さとピノの甘さがよく合う(平野さん4)。料理とワインが独立しあって、でも仲良し。とてもよい(SK5)

  
トコブシとおかひじきのサラダ おかひじきはシャクシャクした歯応え。トコブシは噛むほどに旨味が出てくる。トマトはとても甘い。
・SB ワインの尖りが消えて美しくなる(横浜基点5)。SBの酸がよく合う、トコブシの肝は少し臭み出る(平野さん5)。ワインの酸味がサラダのドレッシングに勝っている(SK2)
・PB よい青さが万年青に出る。トコブシ後から旨味(横浜基点4)。食材とワインの風味が分解する(平野さん3)。ドレッシングの甘味と合うがワインが少しキツイ(SK3)
・Ch ワインが勝つ。トコブシの旨味が出てくるがワインと旨味の質が異なる(横浜基点4)。ワインが強調され、フレッシュ感、透明感が心地よい(平野さん4.5)。ほんのり樽っぽいワインと料理が合っている(SK4)
・Rose ワインの味がそのまま追加される。トコブシの旨味が近い(横浜基点3&5)。食材とロゼの風味が分離。トコブシの旨味とピノの旨味(平野さん3&4.5)。溶け合っている(SK4)
・PN ワインのタンニンが少し強調される。トコブシとは赤黒い成分がいい具合に膨らむ(横浜基点3&5)。食材とロゼの風味が分離。トコブシの旨味とピノの旨味(平野さん3&4.5)。ピノの渋味が出ている。肝は合う(SK2)

  
白レバーのソテー フォアグラのようでソースもおいしい。イチジクのコンフィチュールはすごくおいしい。
・SB 白レバーの旨味をワインの酸味が包み込みおいしい。ワインが多いとワインが目立つ。イチジクはリキュールのような味になりおいしい(横浜基点5&4&5)。食材とワインの風味が分離する(平野さん3)。ミネラル分とレバーの内臓っぽさが合っている(SK4)
・PB 白レバーの油が強調。イチジクは後半に旨味が追加され、果実の香水が広がる(横浜基点2&4)。食材とワインの風味が分離し、アルコール感と酸が浮く(平野さん2.5)。ワインの酸味が出ていて少しレバーと喧嘩している(SK3)
・Ch ぽわんぽわんとした感じに分散する味わいで裏側にワインがいる。イチジクはお互い消しあい後半はイチジクの味(横浜基点3&3.5)。食材とワインの風味が分離するがワインの透明感は強調される(平野さん3.5)。樽の香りが少し消えた(SK3.5)
・Rose ソースの甘味と合致しておいしい。ソースをつけないと玉葱が強調(横浜基点5&4)。食材の旨味。ワインのフレッシュ感が強調されそれぞれおいしい(平野さん4)。ワインの個性が消えている感覚。ワインを楽しみたいと思うと合わない(SK3-4.5)
・PN 白レバーのフォアグラ風味が膨らむ。イチジクの甘味とピノの苦味が消しあう。果実の苦味が残る(横浜基点4)。タンニンと食材の臭みが強調される(平野さん3)。ピノのいいところが消えている(SK3.5)

  
トコブシの肝は両立のレバーの味わいでおいしい。
・SB ワインの酸のキラキラガ周囲にいる(横浜基点4)。少し臭みがある(平野さん3.5)
・PB 肝のクリーミーさが広がる(横浜基点4)。少し分離する(平野さん3.5)
・Ch お互いに邪魔しない(横浜基点3)。違和感がない(平野さん3)
・Rose 貴腐の風味が膨らむ(横浜基点5)。きれい、合う(平野さん5)
・PN スッと入ってくる(横浜基点5)。臭みなく旨味が強調される(平野さん5)

ピュアのオリーブオイルはSB、PB、Chが合い、キゥイ風味のあるエクストラ・バージンオイルはPB、Rose、PNが合う。おもしろかったのは、エクストラバージンオイルとChを合わせるとメイプルシロップ風味、Roseとはよいパンケーキのおいしさが広がった。

  
オイル・ルージュ イタリアン 蟹缶のような香りと味がする。ジャン・ルージュ(萩産ヒメジ)にローリエ、オレガノ、青のりを加えてイタリア風に。アル・ケチァーノ 奥田政行シェフ監修の商品。
・SB よいが別々(横浜基点3.5)。コメントなし(平野さん3.5)
・PB コメントなし(横浜基点3.5、平野さん3.5)
・Ch すっきりきれいなところが合致する(横浜基点5)。シャルドネの品が強調される(平野さん5)
・Rose 蟹風味の嫌味の部分が強調(横浜基点3)。コメントなし(平野さん3.5)
・PN 蟹風味が強調(横浜基点5)。ピノのやわらかさ、きれいさが強調される(平野さん5)

  
しんとり菜とからすみのパスタ 台湾から済みがチーズっぽく甘味も持つ。
・SB SBのグリーンとパスタの辛さが一体となってぼわっとチューリップ状の膨らむ(横浜基点5)。SBのきれいな酸が強調されバランスよい(平野さん4.5)。ミネラルが強調される(SK3)
・PB ペペロンチーノの辛みがぼわっと広がり、尖った感じなく旨味に一体感出る(横浜基点5)。ワインの雑身が消えて透明感、甘味などが強調される(平野さん5)。カラスミとワインのやさしい味が・・(SK4.5)
・Ch 綿菓子のような甘さが広がり、苦味が消える(横浜基点5)。少し違和感ある(平野さん3.5)。酸味が強調しあって・・(SK3)
・Rose 野菜のよさとカラスミの旨味がすごく膨らむ、後半辛味(横浜基点5)。口中の厚みのみが強調される(平野さん3.5)。ピノが弱いので少し合わない(SK3)。
・PN 旨味は広がるが独立した孤高の味わい。カラスミの甘味が出るが、ワイン主体でみると雑味と生臭さがある(横浜基点4)。おいしくない(平野さん2)。カラスミとピノが合う(SK4)

  
好みや見ている部分による違いがあり、評価のばらつきは大きい。大雑把に見ると高貴な品種といわれるシャルドネとピノ・ノワールに似た傾向を感じた。それらはワイン単体に澄んだ美しさがあるので、それが損なわれると評価が低くなってしまうような気がする。

  
本日のラインナップ。すべてジャン・フルニエ

  
・Clos Marie Coteaux du Languedoc pic saint Loup Simon 2005(クロ・マリ ラングドック シモン)
野性味溢れる香り。強く種チュする厚みがあり、ミネラル香もある。味わいも厚みがあり、それでもスムーズに美しく流れる。セメダインのような酢酸の風味もある。

本日もおいしいワインと料理ありがとうございました。量が適度だったので最後まで全員の点数がきちんと付いている。肝の好き嫌いや、ワイン側から見るか、食事側から見るかで評価に違いが出るという感じになった。そうなると、レストランや食卓でワインを選ぶ際に無難に合わせるか、好みを狙うかの2通りが考えられる。人によって良し悪しが出てしまうが後者の方が美味しい、不味いと意見も言い合えておもしろいと思う。

ワイン専門平野弥
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