2012年8月18日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2012年8月

 
毎月恒例のワイン専門平野弥さん主催のワインブラインドテイスティング講座。今月のテーマは品種。講座の前に時間があったので1種類試飲させていただく。

Louis Barruol Les Terres du Sud 2011(ルイ・バリュオル テール・デュ・シュド・VdT・ブラン)
華やかなラムネ、大きめの白い花、これに少しの大きな黄色い花が香る。スワリングで黒いコクが奥から出てきてスーっとする香りと柑橘果実の甘皮も含まれる。口に含むと鼻に香りの要素が抜け、舌には味は薄く、ライムなどの柑橘果実の酸味がチリチリして、口内全体に白果実の甘味、上顎後方に酸味と果実の甘皮の苦味がくる。ヴィオニエ40%、ソーヴィニヨンブラン30%、ミュスカ30%で、2010年よりも果実のボリュームが増している印象で、名前を忘れてしまったが他の生産者の緑色で丸いエンボスが入ったボトルの味に似ている。シャトー・ド・サン・コムが日本のインポータ サ・ヴァインさん向けに造っているオリジナルブランド。(詳細

 
「品種の特徴を捉える」題として、各人がリースリング、シャルドネ、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエ、ゲヴェルツトラミネールの白葡萄品種で造ったワインに対してコメントした。石油香や柑橘など色々あるが、ここではそれぞれの品種に対して思い浮かぶ印象を絵で表現してみた。
ここでは絵の掲載は省略するが、リースリングは黒く中小太の軸、シャルドネは中心から放射状に放ち中心が白っぽい光のような感じ、セミヨンは2cmぐらいのマリモのような球で周囲に何かが漂っている、ソーヴィニヨン・ブランは下に水平方向の層があり、そこから離れた上層にも薄い層がある、ヴィオニエはアメーバのような形や輪郭がなく、ゲヴェルツトラミネールはその場では香りの印象だけから水練のような開いた形で描いたが本質はドーナツを厚み方向で押し出しその表面は光沢を帯びているようなものが思い浮かぶ。
カスピ海を発祥としたワイン造りの伝播において、南ルートは色々な品種が育つので南フランスやボルドーでは混醸が多いのに対して、北ルートでは淘汰されて単一品種になったという説はおもしろい。

ここからはブラインド。いつもは2本の比較を行うが本日は人数が少ないので1本ずつ行い、裏で注いだグラスが提供される。

  
Geantet-Pansiot Bourgogne Blanc 2010(ジャンテ・パンショ ブルゴーニュ・ブラン)
透明感ある薄めの色合い。コクのある黒さ、バター、蜜が香り、スワリングでそれらが混じり華やかな香りとなり、チョコや何かのコクが少し出て蒸かした栗も現れる。口に含むと粘度は低く軽い舌触りで、もわんとした果実の緩い核があり、柑橘果実の酸味がパーンと弾ける。舌に蒸かした栗の甘味があり、ミネラルと共に酸味が喉奥へとシャープに進む。
フランスのシャルドネらしいシャープさを持つ酸味とミネラル、柑橘果実の高いトーンを持ち、放射状に放つ印象もある。2009年ヴィンテージよりもしっかりしている。

  
Weingut Reuscher-Haart Piesporter Goldtropfchen Riesling Spatlese 2003(ロイシャー・ハールト家 ピースポーター・ゴールドトレプフェン・リースリング シュペートレーゼ)-Mosel-Saar-Ruwer
透明感あるが少し濁りがあり、緑とグレーが入った色合い。グーっと濃く黒い核、パイナップルがあり、その周辺は明るく果実の糖、パッションフルーツ、ゴムや石油、少し経ってから黒い軸が迫ってくる。口に含むと舌にやさしく、舌表面で酸味が泡のようにピリピリと弾ける。舌に甘味、果実味が強く、オイルっぽさを感じ、舌にはさらりとしているのに雰囲気はトロリとした印象を受ける。マスカットを濃縮した甘味が舌の上に細かい粒状にあり、それをシーツで覆うように成りながらオイルっぽさが被さりながら口奥へと進んでいく。5cmぐらいの円筒状の果実のボリュームが口奥へと進み、余韻には舌に甘味が残る。
ドイツにある輪郭が淡く周囲が暗いまたは黒っぽい曇天のような雰囲気と、リースリングの黒い中小太の軸の両方がある。2003年に欧州が猛暑だったためか甘味が強く酸味は少なめなので余韻に甘さが残る。以前飲んだビンテージは1990年だがクラス上は格下のQ.b.Aの方がおいしい。

次に赤
  
Staatliche Weinbaudomäne Avelsbacher Hammerstein Spatburgunder trocken 2010
紫も入る明るい色合い。パーンと高いトーンの果実、酸と甘さ青さもあるベリー、黄色い小さい花、ザラメなどが香る。スワリングすると一瞬妖艶さが顔を出し、獣臭とフレッシュな果実が混じる。液体に木片が浮いているような香りもある。口に含むと舌にさらとして鼻に赤いベリーが抜ける。フレッシュな赤果実の果実味と酸味があり、舌先に柔らかい果実の甘味、それ以外の舌には味はのらず、上顎辺りに後半持ち上がるようなクィーン、クィーンという2段階に果実の酸味が伸びていく。
ピノ・ノワールらしい果実味と香り。また、ドイツの曇った黒い雰囲気がある。

  
Geantet-Pansiot Bourgogne Pinot Fin 2010(ジャンテ・パンショ ブルゴーニュ・ピノ・ファン)
赤紫が入った濃いルビー色。香りはフレッシュな果実、ゴム、スミレ、黒くコクがあり、その黒い部分にクーっと引き込まれる雰囲気もある。中心に黒く細い芯があり、その芯を軸とした周囲にはフレッシュな柑橘果実やスミレが周っている。スワリングするとコールタール、黒い果実、赤黄色の小さい花、若草、草、少しだけ桜餅も香る。口に含むと舌にさらりとして赤い木の実の酸味が鼻を抜ける。舌や口全体にやさしく、舌から上顎に向かって酸味が垂直方向にパーンと高く昇る。鼻奥には香りが集まり、パーっと明るい。ミネラルは強くグーンと直線的に伸びていく。後半から余韻にかけて上顎をグーっと押される圧力を感じる。
フランスのピノらしい酸味とミネラルのバランスでシャープで澄んだ印象。ピノ・ファンというクラスだが今は樽が利いているので熟成させた方がおいしくなりそうな味わい。以前に飲んだ2009年ヴィンテージと比べると構成は変わらず、白同様にしっかりした印象を受ける。

  
・Jayer-Gilles Bourgogne Hautes Côtes de Nuits 2009(ジャイエ・ジル オー・コート・ド・ニュイ)
やや濃いめのルビー色で透明感もある。香りは灯油、甘さのある果実、たまり醤油、緑のハーブ、黒さ、スミレなどがあり、時間が経つとやさしい果実の甘さが前面にあり、その奥にたまり醤油がいる。塩が利いてかっぱえびせんもある。口に含むと舌にさらりとして、舌の少し上にジーンとした楕円状のエネルギーが滞在し、梅や梅ジソ、果実の酸味がクーンと高いトーンで続く。そのエネルギーは上顎方向に進み、そのまま連続して長い間突き抜け続ける。
梅ジソも入りブルゴーニュらしい味わいで前者2本と比べると明らかな格上のピノ・ノワール。やや濃いめの味わい。

講座はここで終了。ピノ・グラスでピノ・ノワール3本を再度試飲。
  
Geantet-Pansiot Bourgogne Pinot Fin 2010(ジャンテ・パンショ ブルゴーニュ・ピノ・ファン)
香りの要素がやさしくなり、グンッと黒いスっとした果実がスッキリする。口にすっきりで味は抜け気味になる。

Staatliche Weinbaudomäne Avelsbacher Hammerstein Spatburgunder trocken 2010
鼻前に丸くやさしい果実。果実の核が丸くやさしくいて、酸味はツーンとくるが、ほわんとしながら澄んだ味わい。

・Jayer-Gilles Bourgogne Hautes Côtes de Nuits 2009(ジャイエ・ジル オー・コート・ド・ニュイ)
香りに一体感が出て果実のやさしい甘い香りになる。いい成分を取り出した感じ。味わいも口奥方向へ直線的に進んでいたのとは異なり、グーンとホップしながら直接上顎に入り込み、そのジーンとした味わいが続いていく。

やはりピノグラスは香りのよい要素を取り出し、ポテンシャルがあるワインに対してはその味わいの良さを取り出すが、それほどでないものは味が抜けてしまう場合が多い。

  
講座のランナップ。

  
 豆のマリネ、東京ラスク、サラミ、ガーリックと塩の利いたパスタ

  
Monte Dall Ora Valpolicella Classico SASETI 2011(モンテ・ダッローラ ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・サセーティ)
軽くフレッシュな果実の香り。飲んでみてもさっぱりして水のようにすっとしている。明るいイタリアらしい味わい。安価タイプとしておいしく、スッと飲める。ピノ・グラスにすると塩の香りと輪ゴム、海老のソースを使った料理の香りが出てくる。味はタンニンがあるが味は薄く舌にのらない。上顎奥にタンニンが集まる。
コルヴィーナ40%、コルヴィノーネ30%、ロンディネッラ20%、オゼレータ&モリナーラ10%

  
YDさんが始めて作ってみたという洋風イカ飯。ぷっくらしたその形はホヤを想像させる。


カベルネとの違いを見たいという声が上がり、追加でカベルネ。デカンタされる。
  
Château Lascombes Chevalier de LascomBes Margaux 2005(シャトー・ラスコンブ シュヴァリエ・ド・ラスコンブ)
黒さのある香り。丸く、馬小屋臭、湿気を持った草の香り。口に含むと豊かな果実の風味で、カベルネらしい黒い筋の通った風味。上顎近くに丸く果実と酸味がエネルギーとしてあり、そのエネルギーが丸いまま上方へ押し付けるようで上顎に圧力を与える。舌周辺には自然な水のような味わい。
メドック2級Château Lascombesのセカンド。カベルネらしい強さがあり、マルゴーらしい柔らかさがある。

  
シーフードパスタ

  
センター南にあるポーモ デ アーモさんの「パッションフルーツの雫」、爽やかな柑橘ときれいな酸味、種のプチプチが心地よいお気に入りの一品。写真右は葡萄と横浜名産という「浜なし」。初めて食べました。豊水系統の味わい。デザートで白桃もあったが撮り忘れ。

  

本日もおいしいワイン、食事ありがとうございました。王道の品種と国なので分かりやすかった。

ワイン専門平野弥
横浜市都筑区荏田南町4212-1 045-915-6767 13:00-19:00 月火休