2011年5月21日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2011年5月

主催 ワイン専門平野弥
テーマ 非公開(距離感→スタイル)

最初に余興?の1本、そして比較の2本の白。いつも通りブラインド。



Denis Dubourdieu Château Doisy-Daëne 2006(Chateau Doisy-Daene シャトー・ドワジィ・デーヌ)
黄色が入った色合い。茶色い薄い層が上にあり、そこに核のある黒い香り、時間が経つと蜜の香りも発つ。オイルや油、キゥイの香りもある。口に含むと少し粘度があり、南のフルーツの香りが戻る。栗の実と渋皮の風味。酸が裏から全体にほわーっとやってきて、喉奥まで伸びていく。甘味の上に酸がのっている。
品種を当てることになったが難しい。ボルドーっぽい感じがしたので、頭に浮かんだカベルネ・フランと言ってしまった。白なのに・・失態。セミヨンは浮かばなかった。言われてみるとそんな香りや味わい。

François Mikulski Meursault 2008(Francois Mikulski フランソワ・ミクルスキ ムルソー)
色が薄い。緑が少し入っている。菩提樹の香りで中核に丸いボリューム、オレンジ、オレンジピール、柑橘系の香りで、ミネラルは多いが柑橘系と一体となっている。口に含むと柑橘系の甘味、酸味があり、酸味は少しピリピリする。柔らかいミネラルと一緒に苦味はないが柑橘の甘皮の風味がある。ヨーグルト風味も少しある。

François Mikulski Meursault Poruzots 2007(Francois Mikulski フランソワ・ミクルスキ ムルソー ポリュゾ)
色は前者と同じで薄い。菩提樹が多めで核がなく、柑橘系がほわーっと甘味を持っている香り。柔らかく、蜜や草、野菜の香りなど要素は多いが少し弱い。口に含むと柑橘系の甘味、酸味があり、酸味は強いが柔らかい。酸とミネラルがきれいに伸びる。グラスを大きいものに変えて時間が経つと、甘く、甘皮の苦味、甘味、酸味がバランスされる。

かなり近い印象の2本。開始前にセラーを見たときに輸入した箱が目に入ったので途中で気づいてしまったが、ミクルスキさんのワイン。ムルソーの特徴を捉えているものが皆さん異なり、「ミネラルが汚い」「ぼろ雑巾」「胡麻」などそれぞれ異なる。個人的にはミネラルに柑橘系果実が溶け込んでいる印象で、多分同じものを違う表現でしているのだと思う。赤でいうとボーヌ、特にオスピス・ド・ボーヌに重なる部分を感じる。

次に赤3種。



Domaine Jean Fournier Fixin Les Petits Crais 2008(ジャン・フルニエ フィクサン・ ルージュ・レ・プティ・クレ)
赤が主体の色合い。赤い果実に黒いベリーと獣臭とミルキーさもある香り。さらに森のスーッとする感じとキノコ、全体としては黒をイメージさせる。口に含むとフレッシュな赤果実があり、酸が裏にいて苦味は初めからいる。酸味が後半になるにつれて強くなり、果実味と酸味の強さが中盤で入れ替わる。時間が経つほど獣臭が強くなる。

Méo-Camuzet Frère et Sœurs Fixin Ricclie et Vinifie 2008(メオ・カミュゼ・ネゴシアン フィクサン)
紫が入った色合い。オロナミンC、黒い果実、オレンジ、奥に黒い果実があり、さらにお茶の香りもある。口に含むと乳酸の風味で、酸がキーンと突き抜ける。

Domaine Denis Mortet Fixin Champs Pennebaut 2008(ドニ・モルテ フィサン シャン・プヌボー)
赤が主体の色合い。いい香り。高級なショコラが甘く、柔らかく膨らみ要素は一体化した香り。口に含むと柔らかくふくよかで、ほわほわしたものが雲のように眼前に浮いており、酸はその奥の底にいる。そこから酸がほわほわを貫けてキューっと向かってくる。

ヒントは同一品種の同一ヴィンテージ。ピノ・ノワールというのは皆すぐに分かるので、どう違うかとの問いに、「醸造方法」、「人」などが出たが、答えは「スタイル」。ブルゴーニュのワインでは同義に近いが、飲み手としてワインと対峙したときに見えるのはスタイルということ。哲学っぽさもあるが、ブルゴーニュに限定しなければ確かにスタイルという言葉がふさわしい。これらFixin 3種の共通項は、酸の伸びる感じだろうか。

そして、ムルソーとの違いを比較するために出していただいたピュリニー・モンラッシェ

Fabien Coche-Bouillot Puligny Montrachet 1er Cru La Garenne(ファビアン・コシュ・ブイヨ ピュリニー・モンラッシェ・ラ・ガレンヌ)
いい香り。柔らかく、丸く、フローラル。ムルソーがミネラルに柑橘系果実が溶け込んでいるのに対して、こちらはミネラルに沿うように酸がいるため、ミネラルに張りが感じられて、酸味はそのミネラルに照らされて透明感と透き通ってみえる。




各人持込みの料理の数々。



les Bois Lucas cuvée MiDo 2006(ボワ・ルキャ VdTカベルネフラン キュヴェ ミド) ★MRさん提供
もわんとするビオらしい香りのすぐ裏にはしっかりした果実の香りがある。口に含むと、カチッとした舌触りと、豊富なタンニン、周囲はビオらしい柔らかさがある。力強い芯の強さを柔らかさで包んでいる味わい。昨年はかなり硬くて飲めなかったそうだが、今は飲める。



本日も7本+提供1本と沢山飲ませていただきました。ご馳走様でした。フランソワ・ミクルスキは今回入荷した一部で、他にも色々あるそうなので公開されるのが楽しみ。