本日はシモン･ビーズさんのドメーヌを訪問。本当に忙しいところにお邪魔してしまいました。
電話で伺ったが、タクシーしか交通手段がないということ。調べてみると歩いて1時間ぐらいで行けそうなの
で、風景もゆっくり楽しむのを兼ねてボーヌからサヴィニー・レ・ボーヌまで歩いてみた。
辺り一面が葡萄畑で収穫されているところと、そうでないところがある。葉も紅葉していたり、してなかったり、
それらが区画（多分、持ち主）の違いによってはっきり分かれているのがおもしろい。葡萄を持った大きな像
の下にはベンチがあるので時間調整兼ねて休憩。ここから歩いて10分ぐらい。
有名ですが奥様は日本の方で、収穫の時期になると日本の友人の方々もいらして炊き出しなど応援されるそう
で、皆さん楽しく話しながら食事の準備をされ、日本的な鍋などのいい匂いが建物内に充満してます。
友人の方に写真など紹介していただいているうちに奥様が点呼から戻られた。簡単なご挨拶をして奥様にご対
応いただく。日本語なのでとてもありがたい。
まず案内しましょうか、と発酵樽や圧搾、瓶詰めの現場へ向かう。
発酵中の樽の中を見せていただくと、葡萄の発酵した香りがぷーんと発ちこめる。汁がじゅわじゅわーとして
いて、葡萄がそれに浸かっている感じ。そして、梗があるように見えたので伺うと、先代から全梗でやられて
いるとのこと。
発酵のための樽は新旧合わせて色々とあり、メンテしながら使っているそうだが、今はブルゴーニュにも樽職人
が少なくなり、手間もかかるので新しい樽を購入した方が安く、それを薦められるそうです。
・Savigny-les-Beaune Blanc 2003（サヴィニー・レ・ボーヌ）
白い花やいくつかの果実を含むややキンと張るが柔らかい香り。2-3種類の果実味とボリュームをもった
中盤までは1erクリュっぽい。後半はボリュームは弱くなるものの、酸やミネラルが伸びてフェードアウト
していく。柔らかい、どこか日本的なニュアンスがある。
事前に連絡させてもらったときにも伝えたが、ワインに日本的なニュアンスがあり、奥様の影響もあるか
伺うと、「元々、日本的なところがあったけど、私が来てから拍車がかかったわね（大笑）」
・Savigny-les-Beaune 1er Cru Aux Vergelesses 2003（サヴィニー・レ・ボーヌ オー・ヴェルジュレス）
赤系果実と赤紫の花が中低重心でぼわっとした核であり、東洋系のスパイスも出てくる香り。
甘みのボリュームを強く先行して感じる。アタックのときに上側の高さは変わらずに、下側だけグンっと
一瞬下を掘り下げるような縦方向の厚みを広げる味わいから甘み先行で酸、苦味が後から寄っていく。
・Beaune 1er Cru Les Marconnets 1988？（コルクは1994？）（ボーヌ レ・マルコネ）
地下セラーから土にかぶった瓶を持ってきていただいた1本。
果実味、酸、苦味が混沌と一体になっている。酸とミネラルは穏やか。梅シソの風味があり、やはりどこか
日本的で炊き出しされている香りとばっちり合いそう。
梅シソ風味について伺ってみた。「ウチのは確かに梅シソがありますね。でも何でそうなるか分からないけ
どそうなるの。全梗のせいかな」
醸造やテクニックは全く分からないが、確かにこの風味はビオ生産者や除梗しない生産者に多く感じる。
・Jus de Raisin Pur Jus de Chardonnay（ジュ・ド・レザン）
ジュースはワインにする葡萄から作られたもので、蜜や白い花、そして紅茶のアッサムに少し砂糖を溶かし
たような柔らかないい香り。
豊潤な甘みやコクが強く膨らむがべたつきなどはなく、さーっと味わいが流れていく。甘味に隠れているが
酸味もしっかりとあり、ニュアンスを文字で伝えられないが上品でリッチなこの甘い飲み物はとても上質。
香り味わいともにサーっと水平に薄く広がっていく様は、まさに白ワインから感じるもの。
日本のワイナリーでも葡萄ジュースを販売しているがそれとは次元が異なる。比べてはいけない。
畑から戻って来られたパトリックさんにもお会いでき、写真も撮らせていただいた。日本語も話される。
写真もいい感じに撮れ、「かっこいい」と伝えると、「カッコイイ」という響きが気に入られたのか、
「カッコイイ」と何度も連呼されていた。奥様も颯爽とした動きと雰囲気が素敵で、やはりカッコイイ。
やはり、夫婦というのはどこか似た雰囲気を持つとシミジミと感じた。
そして、収穫が急遽数日伸びたために、買い物があるのでついでにボーヌまで送っていただけるとこと。
とてもいい車で送っていただき、色々な話を伺うことができておもしろかった。
とても忙しい時期にお伺いして申し訳ありませんでしたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。
本当にありがとうございました。建物やお庭はおしゃれで、現場は清潔な印象で素敵なドメーヌだった。
Domaine Simon Bise et Fils （シモン・ビーズ）
12 Rue Chanoine Donin, 21420, Savigny-les-Beaune 03 80 21 50 57
