2013年2月16日土曜日

ワインと家庭料理のマリアージュを探究する会 2013年2月

  
今年から開催されている<食材と葡萄品種の相性を見る>をテーマにした「ワインと家庭料理のマリアージュを探究する会」の2回目。前回は9種類のワインに食材9種類の合計81種類を組み合わせるという過酷な会になってしまった。今回は白ワイン3+1種類に対して食材4種類、赤ワイン5種類に対して食材4種類の合計36種類に絞った。ワインは前回と同じ。
今回は5段階評価にして、ワインと食材が喧嘩しなければ平均値の3点とする。また、幅を持たせた場合、例えば4~5点としたときはその平均値の4.5点とした。さらに例えば3+や3-などのような表現をしたときには+/-を0.2点として、それぞれ3.2点、2.8点とした。

ワインは以前に開催された「平野弥ワイン倶楽部 新着ワイン試飲会」で試したものとほぼ同じなのでワインコメントは省略。
Comtes de Lorgeril Les Terrasses Sauvignon Blanc Vin de Pays D'Oc 2011
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・ソーヴィニヨン・ブラン ヴァン・ド・ペイドック)
Comtes de Lorgeril Les Terrasses Chardonnay Vin de Pays D'Oc 2011
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・シャルドネ  ヴァン・ド・ペイドック)
Comtes de Lorgeril Les Terrasses Viognier Vin de Pays D'Oc 2011
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・ヴィオニエ  ヴァン・ド・ペイドック)
Bioweingut Lorenz Riesling 2011 ※リースリングは何にでも合うのでご参考
(ビオヴァイングット・ロレンツ リースリング)
Comtes de Lorgeril Les Terrasses Cabernet Sauvignon Vin de Pays D'Oc 2011
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・カベルネ・ソーヴィニヨン ヴァン・ド・ペイドック)
Comtes de Lorgeril Les Terrasses Merlot Vin de Pays D'Oc 2011
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・メルロー ヴァン・ド・ペイドック)
Comtes de Lorgeril Les Terrasses Syrah Vin de Pays D'Oc 2011
(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・シラー ヴァン・ド・ペイドック)
⑧Jean Fournier Marsannay Rouge Clos du Roy 2009(マルサネ・ルージュ クロ・デュ・ロワ)
⑨Jean Fournier Marsannay Rouge Les Longeroies 2009(マルサネ・ルージュ レ・ロンジェロワ)

  
春野菜のシーザーサラダ。春野菜はロメインレタスを主体に色々な野菜が入っている。この野菜はとても上質な味わいで、状態のよいワインのように味わいにきれいな伸びがある。ソーヴィニヨン・ブランと合わせると後半のグリーンの爽やかさが広がるのが心地よく、味わいが伸びていく流れが一致するところがすばらしい。シャルドネはチーズとハーブ、ブラックペッパーが引き立つ。

 
菜の花のグリル。ソーヴィニヨン・ブランは焼いた香ばしさが広がり、その後から油っぽさが膨らむ。シャルドネは焼いた香ばしさが膨らむ。ヴィオニエはワインが持つ苦味と菜の花を焼いた苦味が合わさって強調される。

 
新じゃがいものグリル。一度揚げた後にローズマリーとグリルしたもので、ホクホクさと上品な風味。ソーヴィニヨン・ブランではじゃがいもの旨味や爽やかさが強く、ワインの酸味高いトーンが続く。シャルドネはほわーんと味わいが流れた途中でグンっと酸味が低く沈み込み、じゃがいもの旨味が活きる。リースリングはワイン単体にある苦味が料理と一緒だとうまくまとまる。

 

レンコンのから揚げは薄力粉と小麦粉を塗してオリーブオイルで揚げたもの。ヴィオニエと合わせるとレンコンの美味しさがやや膨らむ。赤のシラーと合わせるとシラーの苦味の後にレンコンの味わいが続く。

  
ここから赤ワインの3種類。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー。

  
続いて、先ほどのレンコンを醤油ベースにしたもの。意外にも白ワイン、赤ワインともに醤油ベースの方が相性がよい。特にヴィオニエは良さが引き立ち、赤は3種類とも旨味が広がるが特にシラーの膨らみ方がいい。

  
かぼちゃの煮つけは甘辛く煮たものではなく、素材が伝わる根菜っぽい味わいが出た煮出したようなもの。カベルネソーヴィニヨンとは根菜の風味が一致している。メルロー、シラーも系統としては同じで、マルサネのクロ・デュ・ロワは自然な一致、マルサネのレ・ロンジェロワは乳酸の風味が広がる。

  
ごぼうの牛肉巻き。カベルネソーヴィニヨンとシラーは牛蒡の根菜っぽさがよい具合に強調される。メルローは逆に牛蒡の根菜らしさが減ってまろやかになる。マルサネのクロ・デュ・ロワはぴたっと一致して、混載の風味が広がりブルゴーニュらしさも広がる。レ・ロンジェロワは牛蒡らしさが強調され、スッとする感じが出る。

  
マルサネのクロ・デュ・ロワとレ・ロンジェロワ。

  
牛のカナッペは牛丼の具材部分の甘味を抑えてすっきりさせたような味わい。カベルネソーヴィニヨンとは牛丼の玉葱らしさが強調される。メルローとは肉の旨味が出てきて、ワインはそのソースという感じになる。シラーは味わいが合わさり、まろやかに広がる。クロ・デュ・ロワは酸味と牛肉の風味とブルゴーニュらしさが広がる。レ・ロンジェロワは味わいの要素と風味が広がって一体感がある。

  
アンチョビ風味のパスタ。白のソーヴィニヨン・ブランはパスタの味付けに少し広がりを見せ、シャルネはアンチョビの風味がすごくいい感じで広がる。ヴィオニエはバランスが取れた風味。赤のカベルネソーヴィニヨンはカベルネの果実味と酸味が膨らむ。メルローは少し牡蠣の貝っぽさが膨らみ、シラーはいい具合にまとまる。クロ・デュ・ロワはさらにいい具合にまとまり、レ・ロンジェロワはすごくいい。おいしい。

  
番外編として利き醤油。最初はブラインドだが、香り、味わいともにはっきりと異なり、薄い方は出汁が入ったような風味と香ばしさなどがあり、調味料として調整された香りと味わい。もう一方はたまり醤油のような凛として落ち着きのある香りで、味わいは実直で素直、醤油そのものの旨味がある。薄い色(写真左)は松江にある醤油蔵 松島屋さんの濃い口醤油(混合醸造、調整醤油)。混ざっていると言っても上品な仕上がりでそのまま旨味として加えられるような醤油味。色が濃い方(写真右)は香川県のかめびし屋さんの本醸造濃い口醤油。

赤ワインと合わせると意外にも両方の醤油ともにすべてよい相性で、かめびし屋さんの本醸造の方がほとんどの赤ワインで相性上回るが、マルサネのレ・ロンジェロワだけは松島屋さんの混合醸造の方が相性よかった。最後にワイングラスに出汁を入れて醤油をたらしたものも飲んだが、出汁が鰹節の1番から2番出汁に昆布が入った旨味たっぷりな仕上がりなので、かめびし屋さんの本醸造の方がおいしく飲めた。

  
  
Добре дошли в Katarzyna Estate QUESTION MARK 2008
ルーマニアなどのワインの話が出て、最後に追加で出されたブルガリアのワイン。重厚は箱と梱包から出すと、重厚な重みがあるボトル。カベルネソーにヴィヨン60%、メルロー40%、新樽100%のワイン。ブルーベリーなどベリー系が凝縮している。濃い風味で酸味が少ないので甘味と果実味が柔らかく旨味がある。酸味が苦手で果実味のボリュームが大きいのを好む人には好かれそうなワイン。なお、このボトルのコンディションは不明。

  
本日のラインナップは8名で10本。前回と異なりチャレンジングな生魚がなく、素材や調理もよいおいしい料理とワインだったので楽しめ、すべて相性がよかった。最後のレーダーチャートは平均値を取ったもの。ただし、以下項目は1名の評価になっている。シーザーサラダ、菜の花のグリル、新じゃがいものグリルに対する赤ワインの評価。パスタに対する白ワインの評価。かぼちゃの煮つけに対する④Riの評価。ごぼうの牛肉巻きに対する①SBの評価。
残念ながら傾向は見られないが、ワインと食材を合わせたときに強調される要素を同じものとして捉えていても、自分が好きな要素であればプラス、嫌いまたは不要と思っている要素のときはマイナスに採点していることは分かった。これは好みの問題なので自分が好きな要素は何かを発見していく必要があり、それがまた楽しみでもある。

ワイン専門平野弥
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